【治療経過】陰部静脈瘤の患者さん

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【治療経過】陰部静脈瘤の患者さん

目黒外科 院長 齋藤陽(あきら)

【記事執筆】
目黒外科 院長 齋藤陽(あきら)
日本外科学会 外科専門医
脈管専門医
下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医
詳しいプロフィール

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陰部静脈瘤という言葉を聞いたことはありますか?

通常の下肢静脈瘤とは異なる女性特有の静脈瘤です。

今回は陰部静脈瘤の患者さんをご紹介します。

Sさん 40代女性 出産歴2回

2回目の妊娠中から右足の血管が目立つようになり、出産後も右足が重だるく、特に生理中に右足が痛くなるそうです。

最近徐々に症状がひどくなり、お尻や腰の方まで痛みが拡がっていました。

弾性ストッキングを着用していましたが、そろそろ限界ということで来院されました。

40代女性陰部静脈瘤事例

右の太ももの裏側から膝にかけて静脈瘤を認めます。

これが陰部静脈瘤です。

通常の下肢静脈瘤は大伏在静脈・小伏在静脈に血液の逆流が生じることで発生しますが、陰部静脈瘤は骨盤内の子宮や卵巣の静脈から発生します。

したがって、レーザーや高周波による血管内焼灼術、ストリッピングなどの対象にはなりません。

治療方法は硬化療法です。

陰部静脈瘤にとても細い注射針を刺して、硬化剤という薬を注射しました。

陰部静脈瘤は閉塞し、血液の逆流がなくなりました。

その結果、治療当日よりお尻や腰の痛みが改善しました。

解説

陰部静脈瘤は、股の付け根や太ももの裏側にできる静脈瘤です。

妊娠中にできることが多く、女性特有の静脈瘤です。

原因となる静脈の逆流は、通常の下肢静脈瘤の場合は大伏在静脈・小伏在静脈にみられますが、陰部静脈瘤の場合は子宮や卵巣など骨盤内の静脈から発生します。よって、骨盤静脈瘤とも呼ばれます。

骨盤静脈瘤と呼ばれる理由

原因

妊娠中は特にプロゲステロンが増加するため、骨盤内の静脈が太くなります。

妊娠が後期になると子宮が大きくなるため、子宮によって静脈が圧迫されて血流が停滞しやすくなります。

すると迂回する血管が必要になり子宮や卵巣付近の毛細血管が発達します。

以上のような原因が重なり子宮や卵巣の周りには拡張した毛細血管が発達して陰部静脈瘤となります。

陰部静脈瘤には正常な弁がないため血液中の老廃物が陰部静脈瘤を通じてお尻や太ももに戻って来てしまうのです。

症状

お尻や足の痛みやだるさが主な症状です。

生理が来るたびに子宮や卵巣への血流が増加するため、陰部静脈瘤への血流も増えます。

そのため、生理中は症状が強くなります。反対に、閉経になると症状が軽くなります。

これらの症状を骨盤内うっ滞症候群といいます。

治療

陰部静脈瘤に硬化剤というお薬を注入して静脈瘤を止めてしまう硬化療法が一般的です。

泡状にした硬化剤を陰部静脈瘤に注射します。

すると硬化剤に触れた静脈が炎症をおこして閉塞します。

陰部静脈瘤に血液が流れ込んでくることがなくなり、症状が改善します。

15分ほどの治療で終了しますが、陰部静脈瘤は静脈が網目のように張りめぐらされているため、一時的に症状が改善しても再び症状がぶり返すこともあります。

その場合は根気強く硬化療法を続ける場合もありますが、症状が強い場合は首の静脈からカテーテルを挿入し、卵巣静脈に金属製のフィルターを挿入して血流を止めてしまう治療法もあります。

予防方法

妊娠がきっかけとなる陰部静脈瘤ですが、マタニティ用の弾性ストッキングがありますので、妊娠期間中を通して弾性ストッキングの着用を続けること予防になります。

ご自身にあてはまる症状があれば血管外科を受診しましょう。

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