【経過報告】足のこむら返りで夜眠れなかった2人の患者さんのケース
下肢静脈瘤の代表的な症状の一つが足のこむら返りです。
そこで今回は、こむら返りでお悩みの患者さん2人のケースをご紹介します。(本記事は患者さんの同意を得て記事を掲載しています)
毎日、長時間の立ち仕事をしているケース (Aさん/50代/男性)
調理師をなさっている患者さんのケースです。
毎日10時間近い立ち仕事で、お仕事中に足がだるくなる(特に左足)こと、ほぼ毎晩夜中に左足がつるため熟睡できないことを悩んでおられました。
左足の血管が浮き出ていて、クネクネと曲がっているのがおわかりいただけるでしょうか?
これを伏在型静脈瘤といいます。
超音波検査では、クネクネと曲がっている血管(左大伏在静脈)の拡張と血液の逆流を認めました。
この場合、静脈血の逆流がこむら返りの原因と考えられます。
そこで血液の逆流を止めるべく、レーザーカテーテルによる血管内焼灼術を行いました。
術後の経過について
毎晩のようにつっていた左足は、治療後は全くつらなくなり、症状が大きく改善されたといいます。
そのため睡眠が中断されず、熟睡感が得られているそうです。
こちらが術後1か月目の写真になります。
治療前は目立っていた静脈が目立たなくなっていますね。手術後のアンケートでは「非常に満足」のご回答をいただきました。
見た目ではわかりにくいケース(Bさん/40代/女性)
週3回、歯科助手のお仕事をなさっている患者さんのケースです。
お仕事中はほぼ立ちっぱなしとのことで、座ることがあまりないそうです。
先ほどご紹介したAさんと同じく就寝中のこむら返り(両足)にお困りで、それはお仕事をした夜に足がつることが多いとお困りでした。
両側のすねに少し血管が浮き出ています。超音波検査では、両側大伏在静脈の逆流を認めました。
両足がつること、お仕事をした夜に足がつりやすいことから血液の逆流がこむら返りの原因と考えられます。
そこで、静脈の逆流を止めるため、レーザーカテーテルによる血管内焼灼術を行いました。
術後の経過について
治療を受けた晩に1回だけ足がつったものの、それ以降は仕事をした日でも足がつらなくなり、症状が大きく改善されたそうです。
こちらが術後1か月目の写真になります。
もともと見た目はあまり問題がないため、術後もほとんど変わりありませんでしたが、すねに少しあった静脈瘤がきれいになっています。
両足のこむら返りは、すっかり改善しました。手術後のアンケートで「非常に満足」のご回答をいただきました。
【解説】
静脈弁が壊れて血液の逆流が起きると、足に血液中の老廃物が溜まってしまいます。
特に疲労物質と呼ばれる乳酸が足に溜まると、こむら返りの原因となってしまうことがあるでしょう。
足の静脈瘤によるこむら返りは、深夜から明け方にかけて足がつるのが特徴的です。
足にボコボコ浮き出た血管があれば静脈の逆流を推測することができますが、原因を確定するためには超音波検査で静脈の逆流を確認する必要があります。
静脈の逆流が確認できた場合、逆流している静脈を焼く(血管内焼灼術)か、または抜く(ストリッピング手術)方法が一般的です。
逆流がはっきりしない方でも、立ち仕事などで足を酷使している場合は、弾性ストッキングによる圧迫療法を行うとこむら返りがなくなるケースが多々見られます。
足のこむら返りでお困りの方は、超音波検査により静脈の逆流があるか確認するとよいでしょう。