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2017.12.14 下肢静脈瘤の治療方法

保存的治療

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

静脈は血液を心臓に戻す役割をしています。

足の静脈は重力に逆らって血液が流れますので、逆流防止弁が血管の中に備わっています。

下肢静脈瘤は足の静脈にある逆流防止弁がきちんと閉じないために血液が重力で落下して血液が足にたまる病気です。

逆流防止弁がダメになる主な原因は、

A) 立ち仕事
B) 遺伝
C) 妊娠・出産
D) 加齢
E) 肥満
F) 便秘 といわれています。

下肢静脈瘤にはCEAP分類という進行度があり、軽症から重症まで進行度が6段階に分かれています。

<軽症>

C1:血管拡張症(直径1mm以下の皮内静脈)または網目状静脈(直径1-3mmの皮下静脈)

<中等症>

C2:静脈瘤(直径3mm以上)
C3:浮腫

<重症>

C4a:色素沈着または湿疹
C4b:皮膚脂肪硬化または白色萎縮
C5:治癒後の皮膚潰瘍
C6:活動性潰瘍

この中で軽症の方と中等症の中でも症状の軽い方は保存的治療の対象となります。

保存的治療には、弾性ストッキングの着用による圧迫療法や、日常生活の見直しや予防方法などが挙げられます。

弾性ストッキング

弾性ストッキングは医療用として作られたストッキングで、形状によりハイソックス・ストッキング・パンストタイプの3種類あります。

ふくらはぎの筋肉が静脈を圧迫することで血液を上に押し上げるので、重要なポイントはふくらはぎの圧迫です。

ですからどの形状でも構いませんが、ハイソックスタイプで十分と考えます。

足の圧迫する強さにより、弱圧・中圧・強圧があり、下肢静脈瘤の方は中圧タイプとなります。

足を圧迫すると血行が悪くなるのではないかと心配される方がいらっしゃいますが、ご安心ください。

弾性ストッキングはつま先が最も圧迫力が強く、上に行くにしたがって圧力が弱くなる構造になっています。

血液を下から上に押し上げてくれるため、静脈血のうっ滞を改善してくれます。

反対に、膝のほうで圧迫力が強くなってしまうと首を絞められたのと同じように血液が流れなくなってしまいます。

歯磨き粉やマヨネーズを押し出すようなイメージと思ってください。

長時間の立ち仕事に従事される方は、弾性ストッキングの着用により足の静脈うっ血をかなり軽減することができます。

弾性ストッキングは下肢静脈瘤の進行を遅らせることができますが、ダメになった静脈弁は治らないため根本的な治療にはなりません。

日常生活でできること

長時間の立ち仕事をされる方は弾性ストッキングの着用とともに時々屈伸運動やアキレス腱を伸ばす運動を取り入れてください。
便秘の解消に水分や繊維質を摂るようにしてください。

肥満は下肢静脈瘤の原因となります。食べすぎや運動不足を改善しましょう。

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