高位結紮術 | 目黒外科

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2017.12.11 下肢静脈瘤の治療方法

高位結紮術

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

高位結紮術とは、足の付け根の皮膚を数cm切開して、逆流している静脈を糸でしばることで血液の逆流を止める手術です。

高位結紮術は、局所麻酔で行うことができ、15分程度の短時間で終わります。

その手軽さから今から20年位前に日帰り手術として盛んに行われていたものです。

しかし、近年になり、この手術は再発率が高いということが分かってきました。10年間で40~50%という高い再発率です。

これは、足の付け根で静脈の上流を糸でしばっても、下流の太ももの静脈が残っているため、その後新たに静脈が発生してくると上流と下流の静脈が再びつながってしまいます。

すると上流の静脈から下流へと血液の逆流が再び生じてしまうのです。

そこで、再発を防ぐために糸でしばる部分を何か所も増やしたり、硬化療法を併用したりと様々な工夫が試みられました。

しかし、その後ストリッピング手術が下半身麻酔(腰椎麻酔)ではなく局所麻酔でできるようになったことや、足の付け根の1か所だけの皮膚切開でストリッピング手術が行うことができるようになったため、高位結紮術は次第に行われなくなっていったのです。

そして、レーザーおよび高周波カテーテルによる血管内焼灼術の登場によりストリッピング手術ですら出番が減った現在、高位結紮術が行われる機会はほとんどなくなりました。

このことを踏まえ、高位結紮術を検討してもよいと考えられるケースを考えてみますと、

・ストリッピング術後の血管新生による再発例
・側枝型静脈瘤

などのケースが考えられます。

これらのケースは静脈がクネクネと曲がりくねっていること、径が4㎜以下のことが多いため血管内焼灼術用のカテーテルが挿入できません。

そこで、静脈の逆流を止めるために糸でしばる高位結紮術あるいは硬化療法が考えられます。

硬化療法が適切と考えられるのは、クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤など、1mm程度の細い静脈です。

それ以上の静脈径になると、静脈の接着が悪いことや再発率が高いため、糸でしばることを検討してもいいかもしれません。

下肢静脈瘤の治療は病院によっては様々な診療科の医師が行うことがあります。

しかし、このような治療法も経験・技術の引き出しとして持っていることは外科医の優位な点です。

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