【治療経過】足のだるさ・重みにお悩みの患者さんはどうなったか?
下肢静脈瘤の最も代表的な症状は、足の重さだるさです。
今回は、右足の重さだるさを訴えて来院された患者さんをご紹介します。
40代の男性です。調理師な毎日長時間立ちっぱなしで、右足が重だるくてとてもつらいそうです。
右ひざからすねにかけて、血管が浮き出ています。このボコボコ浮き出ている血管を静脈瘤といいます。
超音波検査では、右大伏在静脈の逆流を認めました。
これだけだと分かりにくいのでイラストにします。
足の重さやだるさの原因は、静脈の逆流により足に老廃物が溜まっていることが考えられました。
そこで、大伏在静脈の逆流を止めるために、高周波カテーテルによる血管内焼灼術を行いました。
手術時間は11分。手術中痛みはなく、目が覚めたら治療が終わったので驚いていました。
<この患者さんのその後の経過>
術後右足のだるさは改善し、足がとても軽く感じるそうです。
術後1か月の写真です。
右ひざからすねにかけてボコボコ浮き出ていた静脈瘤は目立たなくなりました。
(アンケート結果)
<解説>
足の静脈は老廃物で汚れた血液が流れる下水道のような役目をしています。
血液が重力で落ちてこないように逆流防止弁が数cmおきについているのですが、この逆流防止弁が何らかの理由によってきちんと閉じなくなってしまうと血液の逆流がおこります。
汚れた血液が足に溜まって重さやだるさを感じるようになります。
血液が逆流して渋滞(うっ血といいます)すると、血液が心臓に戻れるように渋滞の抜け道が作られるようになります。これがボコボコ浮き出た静脈瘤です。
静脈瘤は上流からの血液の逆流によって発生するため、逆流している大伏在静脈をカテーテルで焼いて閉塞させると血液の逆流が止まります。
血液の逆流が止まれば血液の渋滞もなくなるので、渋滞の抜け道である静脈瘤は用がなくなり小さくなっていきます。
立ち仕事で足のだるさや重さにお悩みの方は一度足の超音波検査を受けてみましょう。
静脈の逆流があればカテーテルによる治療で症状が改善できますし、逆流がない場合は弾性ストッキングを着用するとお仕事中も足が楽になります。