下肢静脈瘤の発症率 | 目黒外科

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2018.01.12 下肢静脈瘤コラム

下肢静脈瘤の発症率

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

みなさんこんにちは。目黒外科院長の齋藤です。

今回の記事では、下肢静脈瘤の発症率について解説します!

下肢静脈瘤の患者さんはいったいどれくらいいるのでしょうか?

年齢・性別・遺伝という3つのポイントからデータを見ていきましょう。

年齢

下肢静脈瘤は40歳以上に多く認められ、年齢とともに増加していきます。50~60代の6割、70歳以上の75%に下肢静脈瘤が認められたというデータがあります。
年を取るごとに足の筋肉量や運動量が減り、筋ポンプ作用が弱くなることや、血管自体の老化により静脈が伸びやすくなり、
逆流防止弁がきちんと閉じなくなることなどが原因です。

性別

男女比はおよそ、男:女=1:3です。
女性が多い理由は妊娠・出産の影響を受けやすいこと、足の筋肉量が男性よりも少ないため筋ポンプ作用が弱いためと考えられています。

出産を経験した女性の2人に1人は静脈瘤を発症するというデータがあります。

その理由は3つあります。

●母体の血液量の増加
妊娠中は、赤ちゃんを育てなくてはなりませんので、お母さんの体の中を流れる血液の量が40-50%増加するといわれています。

そのため、全身の静脈は増加した血液によりパンパンの状態となり、特に重力の影響を受けやすい足の静脈は太くなります。

●女性ホルモンの影響
妊娠中は女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの量が数十倍~100倍に増加します。

エストロゲンとプロゲステロンは血管の拡張作用があるため、妊娠中は静脈が太くなりやすいので、妊娠後期になるほど静脈は太くなっていきます。

●子宮による静脈の圧迫
妊娠週数が進み、胎児が大きくなると、大きくなった子宮が骨盤の中で静脈を圧迫します。すると足から流れてきた血液は通りにくいため、砂時計のように渋滞して静脈が太くなります。
パンパンに伸ばされていた静脈も、出産後には元に戻りますが、伸び切ったゴムのように太くなった静脈が元に戻らず、そのまま静脈瘤ができてしまう方もいらっしゃいます。
一般的には2人目の妊娠から静脈瘤が目立つようになることが多く、出産回数とともに下肢静脈瘤の発症率も比例します。

遺伝

両親が下肢静脈瘤を持つ場合、子供に遺伝する確率は90%といわれています。
どちらかの親が下肢静脈瘤を持つ場合、男性25%、女性60%の確率で遺伝するというデータがあります。

このように改めてデータで見てみると、下肢静脈瘤は身近な病気だと言うことがわかります。

 

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