硬化療法
硬化療法は静脈瘤の中に「硬化剤」という薬を注射し、静脈に炎症を起こさせることで静脈を閉塞する治療法です。
フォーム硬化療法
硬化療法は硬化剤を静脈瘤に注射するのですが、硬化剤をそのまま注射器で注入するわけではありません。
「フォーム硬化療法」といって、硬化剤を空気と混合してカフェラテを飲むときのミルクフォーム(泡状になったミルク)のように硬化剤を泡状にします。
泡状にするメリット
1.空気と混ぜると容積が増すので少量の硬化剤で治療ができる
2.液状の硬化剤と比べると、泡は静脈とよく絡むので効果的
3.注射する箇所が少なくて済む
4.血栓性静脈炎をおこしにくい
フォーム硬化療法が適しているケース
1.クモの巣状静脈瘤・網目状静脈瘤
2.再発した静脈瘤
3.陰部静脈瘤
4.あまり太くない側枝型静脈瘤
この中でも症状のある再発静脈瘤と陰部静脈瘤などは特に効果があります。
フォーム硬化療法のやり方
静脈瘤に細い注射針を刺して硬化剤を注入します。
患部をガーゼで圧迫し、その上から弾性ストッキングを着用します。
圧迫は2日間必要です。2日経過した後は日中だけ弾性ストッキングを着用します(夜は脱いでも良い)。
弾性ストッキングは2週間から1か月着用します。
静脈瘤は硬化剤による化学的刺激で静脈の内側が障害され炎症を起こします。
炎症をおこした部分はしこりのように硬くなり、半年くらいかけて少しずつ消えていきます。
硬化療法の副作用
A.しこり・痛み
静脈瘤に血栓ができて痛みとしこりがおこります。しこりは半年くらいかけて小さくなっていきます。
B.色素沈着
硬化療法後は静脈瘤に沿った色素沈着が生じます。
この色素沈着は薄くなるのに時間がかかり、消えるのに1年から数年かかることもあります。
C.一時的な神経障害
目がチカチカしたり、目が見えにくいなどの症状がみられることがあります(0.1~0.2%の頻度)。硬化剤が深部静脈から心臓に入り、卵円孔という穴から動脈に入り脳血管に入り込むためと考えられています。ごく短時間で改善し、後遺症も残さないため心配ありません。
硬化療法が禁止のケース
血栓症をおこしやすい薬を服用中の方は、硬化療法により深部静脈血栓症のリスクがあるため硬化療法が禁止されています。
1.経口避妊薬(ピル)
2.ステロイド
3.エビスタ(骨粗しょう症の薬)
4.ピル以外のホルモン剤
以下の疾患がある、または過去にかかった方も硬化療法が禁止されています。
5.深部静脈血栓症がある、または血栓症をおこしたことがある
6.動脈性血行障害
7.歩行困難
8.妊娠中
9.ベーチェット病
10.気管支喘息
これらの条件に当てはまる方は担当医に必ずお伝えください。