足のむくみのセルフチェック
足のむくみの原因とセルフチェック|放置リスクと受診の重要性
足のむくみとは?
足のむくみとは、血液中の水分が血管の外に漏れ出し、皮膚の下に余分な水分がたまった状態を指します。
通常、血液中の水分は血管内に留まっていますが、何らかの原因で血液の流れが滞ったり、血管の圧力が高まったりすると、水分が血管外へ染み出してしまいます。
特に、心臓から最も遠い「足」は重力の影響を受けやすく、日中の活動により血液や水分が下半身にたまりやすくなります。
そのため、夕方になると足がパンパンに張ったり、靴がきつく感じられるといった症状が現れることが多いのです。
これは一時的なものもありますが、慢性的に続く場合や左右差がある場合には、循環器系や腎臓などの重大な疾患が背景にある可能性もあるため注意が必要です。
足のむくみの主な原因
足のむくみには様々な原因がありますが、最も圧倒的に多い原因は、足をあまり動かさないために筋肉のポンプ作用が働かず、静脈の血液が心臓に戻らず足に停滞することです。
心臓から足まで送られた血液は、本来、静脈を通って心臓に押し戻されます。このとき大きな役割を果たすのが、ふくらはぎを中心とした筋肉のポンプ作用(筋ポンプ作用)です。歩行や運動によって足の筋肉が収縮すると、静脈の血液が重力に逆らって心臓へ送り返されます。
しかし、長時間立ちっぱなしや座りっぱなしの生活、または運動不足などによって、足の筋肉が十分に働かないと、筋ポンプ作用が低下し、静脈の血液は心臓に押し戻されにくくなります。
その結果、血液が足に溜まりやすくなり、血管内圧が上昇して、血管から水分が染み出してむくみが生じます。
さらに、以下のような要因もむくみを悪化させる原因となります:
- 塩分の摂りすぎ:体内に余分な水分がたまり、むくみやすくなります。
- アルコールの過剰摂取:血管拡張作用により、血管から水分が滲み出しやすくなります。
- 心臓、腎臓、肝臓、甲状腺の病気:体内の水分バランスを調整する機能が低下し、全身性のむくみを引き起こすことがあります。
- 下肢静脈瘤:足の静脈の弁が壊れ、血液が逆流・うっ滞することで、足に血液がたまりやすくなり、慢性的なむくみやだるさを引き起こします。
特に下肢静脈瘤は、単なるむくみと思って放置すると、血管が徐々に浮き出してきたり、皮膚炎や潰瘍などの合併症を招く恐れもあります。
「夕方になると足がむくむ」「足がだるく重い」といった症状が続く場合には、静脈の異常が隠れている可能性も考え、注意が必要です。
足のむくみをセルフチェックする方法
簡単にできるセルフチェックをご紹介します。
- 足のすねのあたりを指で5秒間押して凹ませる
- 手を離したあと、10秒以上凹みが戻らない場合は「むくみあり」と判定
また、むくみは朝より夕方に悪化しやすい特徴があります。朝と夜でむくみの程度を比較してみると、重症度の目安になります。
むくみを放置するとどうなる?
むくみは日常的によく見られる症状ですが、長期間放置すると重大な病気が隠れている可能性があります。
特に注意が必要なのは、以下のような疾患です。
- 心不全:心臓のポンプ機能が低下し、全身の血液循環が滞ることでむくみが生じます。
- 腎不全:腎臓の機能が低下すると、体内の水分や老廃物が排出できず、むくみとして現れます。
- 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群):足の深部の静脈に血栓ができ、血流が妨げられることで、片足だけに急激なむくみが起こることもあります。
- 肝硬変:肝臓の働きが低下することで、体内の水分バランスが崩れ、むくみや腹水を引き起こします。
- 甲状腺機能低下症:代謝機能が低下し、体内の水分が溜まりやすくなるため、むくみや皮膚の乾燥が現れます。
むくみが続くと、単なる不快感にとどまらず、足が重だるく感じたり、歩行時にバランスを崩しやすくなったりします。
その結果、転倒や骨折のリスクも高まるため、特に高齢者にとっては深刻な問題につながりかねません。
「いつものこと」と自己判断せず、
むくみが長引く場合や、片側だけ異常に腫れる場合、呼吸困難や胸の痛みを伴う場合は、早急に医師の診察を受けることが重要です。
むくみが気になったら医師の診察を
むくみの多くは、運動不足や塩分の摂りすぎ、長時間の立ち仕事・座り仕事といった日常生活の影響によるもので、生活習慣を見直すことで改善が期待できます。
適度な運動を取り入れたり、塩分やアルコールの摂取を控えたりするだけでも、むくみが軽減するケースは少なくありません。
しかし、なかには治療を必要とする重篤な病気が隠れている場合もあります。
例えば、心臓や腎臓、肝臓の機能低下によるむくみは、生活習慣の改善だけでは対処できず、専門的な医療介入が不可欠です。
「たかがむくみ」と自己判断して放置してしまうと、病気の発見が遅れ、症状が進行してしまうリスクもあります。
こんな症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう
- むくみが数日以上続く、または徐々に悪化している
- 片足だけ異常に腫れている、左右差が大きい
- むくみに加えて痛み・発赤・熱感がある
- 息苦しさや胸の痛みを伴っている
- 顔や手にもむくみが出現している
- 朝起きたときからむくみがひどい(通常は朝に軽減するため)
- 皮膚の色が変化してきた(黒ずみ・赤みなど)
これらの症状は、心臓・腎臓・静脈血栓症など重大な疾患が背景にある可能性もあります。
少しでも不安を感じたら、早めに専門医の診察を受けましょう。
気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診し、専門医の診断を受けることが大切です。
早期発見・早期治療が、健康を守る大きな鍵となります。
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