陰部静脈瘤 | 目黒外科

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2017.12.14 下肢静脈瘤の基礎知識

陰部静脈瘤

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

陰部静脈瘤という特殊な静脈瘤をご紹介します。
陰部静脈瘤とは、股の付け根や太ももの裏側にできる静脈瘤です。
妊娠中にできることが多く、女性特有の静脈瘤といえます。

原因となる静脈の逆流発生部位は、通常の下肢静脈瘤の場合は大(小)伏在静脈や副伏在静脈ですが、陰部静脈瘤の場合は子宮や卵巣など、骨盤内の静脈から発生します。よって、骨盤静脈瘤とも呼ばれます。

<原因>

妊娠中は赤ちゃんのいる子宮にたくさんの血液が行くよう、女性ホルモンのプロゲステロンが増加します。プロゲステロンは毛細血管を拡張させる作用があります。

妊娠後期になると子宮が大きくなり静脈が圧迫されるため、血流が砂時計のように停滞しやすくなります。すると子宮や卵巣付近の毛細血管が発達するようになります。

以上のような原因が重なり子宮や卵巣の周りには拡張した毛細血管が発達して陰部静脈瘤となります。陰部静脈瘤には正常な弁がありません。そのため血液中の老廃物が陰部静脈瘤を通じてお尻や太ももに戻って来るのです。

<症状>

お尻や足の痛みやだるさが主な症状です。
生理が来るたびに子宮や卵巣への血流が増加するため、陰部静脈瘤への血流も増えます。そのため、生理中は症状が強くなります。反対に、閉経になると症状が軽くなります。

<治療方法>

陰部静脈瘤に硬化剤というお薬を注入して静脈瘤を止めてしまう硬化療法が一般的です。泡状にした硬化剤を陰部静脈瘤に注射します。

すると硬化剤に触れた静脈が炎症をおこして閉塞します。陰部静脈瘤に血液が流れ込んでくることがなくなり、症状が改善します。

15分ほどの治療で終了しますが、陰部静脈瘤は静脈が網目のように張りめぐらされているため、一時的に症状が改善しても再び症状がぶり返すことがあります。

その場合は根気強く硬化療法を続ける場合もありますが、症状が強い場合は首の静脈からカテーテルを挿入し、卵巣静脈などに金属製のフィルターを埋め込む治療法もあります。

<予防方法>

妊娠がきっかけとなる陰部静脈瘤ですが、マタニティ用の弾性ストッキングがありますので、妊娠期間中を通して弾性ストッキングの着用を続けること予防になります。

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