下肢静脈瘤と皮膚トラブルの関係|目黒外科クリニック院長が解説 | 目黒外科

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2025.03.27

下肢静脈瘤と皮膚トラブルの関係|目黒外科クリニック院長が解説

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

こんにちは。下肢静脈瘤専門クリニック・目黒外科の院長、齋藤陽です。本日は、下肢静脈瘤とそれに伴う皮膚トラブルについて詳しく解説したいと思います。

下肢静脈瘤とはどんな病気?

下肢静脈瘤は、足の静脈が拡張し、こぶのように膨らんだり、蛇行したりする病気です。私たちの足の静脈には、血液が重力によって逆流しないようにする弁がありますが、この弁がうまく機能しなくなると、血液が足に溜まり、静脈が変形してしまうのです。

特に以下のような方に発症しやすい傾向があります:

  • 1日中立ち仕事をされている方
  • デスクワークで長時間同じ姿勢を続ける方
  • 家族に下肢静脈瘤の方がいる場合
  • 妊娠・出産経験の多い女性

下肢静脈瘤の主な症状

見た目の変化

  • 足の血管がボコボコと浮き出る(ふくらはぎ・すね・太ももに多い)
  • クモの巣状の細かい血管が広がる(蜘蛛の巣状静脈瘤)

自覚症状

  • 足がだるい、重い感じがする
  • 夕方になると足がむくむ
  • 足がつりやすい(特に夜間や明け方)
  • 足がほてる、熱っぽい
  • 足がむずむずする

うっ滞性皮膚炎の危険性

下肢静脈瘤を放置すると、次第に「うっ滞性皮膚炎」を引き起こすことがあります。これは、血液循環が悪くなることで皮膚に十分な栄養が届かなくなり、様々な症状が現れる状態です。

具体的な症状としては:

  • 皮膚の赤みやかゆみ
  • 色素沈着(茶色や黒っぽい変色)
  • 皮膚が硬くなる(皮膚硬化)
  • 治りにくい湿疹
  • 皮膚潰瘍

特に、くるぶし周辺やすねの下部に症状が出やすいのが特徴です。

実際の症例写真で見る症状の進行

色素沈着

この写真のように、皮膚が黒ずんでくる「色素沈着」が見られます。これは血液中の鉄の一種であるヘモジデリンという成分が皮膚に沈着することで起こります。

湿疹と掻き壊し

 


この患者さんは、強いかゆみのために皮膚を掻き壊してしまっています。うっ滞性皮膚炎のかゆみは、一般的なかゆみ止めが効きにくく、長期間続くのが特徴です。

重症化:皮膚潰瘍


さらに進行すると、このように皮膚潰瘍(かいよう)になるケースもあります。血流が悪いため、小さな傷でも治りにくく、潰瘍化してしまうのです。

早期治療の重要性

「たかが静脈瘤」と軽視されがちですが、放置するとこのような深刻な皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。しかし、適切な時期に治療を開始すれば、これらの症状を改善させることが可能です。

当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療プランをご提案しています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

下肢静脈瘤や皮膚の変化が気になる方は、ぜひ専門医の診察を受けることをお勧めします。早期発見・早期治療が、健康な足を保つ秘訣です。

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