【医師監修】下肢静脈瘤の発症率はどのくらい?年齢・性別・遺伝・職業によるリスクを徹底解説 | 目黒外科

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2018.01.12 下肢静脈瘤コラム

【医師監修】下肢静脈瘤の発症率はどのくらい?年齢・性別・遺伝・職業によるリスクを徹底解説

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

 

下肢静脈瘤の発症率|年齢・性別・遺伝・職業の影響を専門医が解説

こんにちは。目黒外科院長の齋藤です。

最近、足のだるさや血管の浮き出しなどが気になっていませんか?下肢静脈瘤は非常に身近な病気です。この記事では、年齢・性別・遺伝・職業という4つのポイントから下肢静脈瘤の発症率について詳しく解説します。

🔍 発症率に影響を与える要因

  • 性別:多くの研究で、女性の方が男性よりも発症率が高いことが示されています。これは、妊娠やホルモンの影響が関与していると考えられています。

  • 年齢:加齢に伴い、静脈の弁機能が低下し、発症リスクが高まります。

  • 遺伝:家族に下肢静脈瘤の既往がある場合、発症リスクが高まります。

  • 職業:長時間の立ち仕事や座り仕事は、静脈への負担を増加させ、発症リスクを高めます。

年齢による発症率の違い

下肢静脈瘤は40歳以上に多く、年齢とともに増加します。具体的には50~60代の約6割、70歳以上では75%の方に認められるというデータもあります※1

2005年の愛媛大学の調査によると、40歳以上の9123人のうち8.6%が下肢静脈瘤を有しており、男性は3.8%、女性は11.3%でした ※2

その原因は、年齢を重ねることで筋肉量や運動量が減り、血液を心臓に戻す筋ポンプ作用が弱くなるためです。また、血管自体の老化で静脈が伸びやすくなり、逆流防止弁の機能も低下してしまいます。

性別による発症率の違い

下肢静脈瘤の男女比は約1:3で、女性に多く見られます。特に出産を経験した女性の2人に1人が静脈瘤を発症すると言われています。

妊娠・出産が女性に及ぼす影響

妊娠・出産によって女性が静脈瘤になりやすい理由は主に次の3つです。

  • 母体の血液量の増加
    妊娠中、赤ちゃんを育てるため血液量が通常より30~50%増加します。その結果、足の静脈が拡張してしまいます。
  • 女性ホルモンの影響
    妊娠中はエストロゲンとプロゲステロンの量が大幅に増加します。これらのホルモンは血管拡張作用があるため、静脈がより太くなります。
  • 子宮による静脈の圧迫
    胎児が成長すると、子宮が静脈を圧迫して血流が悪くなり、静脈の拡張を引き起こします。出産後に元に戻らない場合、静脈瘤が残ってしまいます。出産回数が増えるほど静脈瘤のリスクも高まります。

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遺伝が発症率に与える影響

遺伝も下肢静脈瘤の重要なリスク要因です。両親ともに下肢静脈瘤がある場合、子どもへの遺伝確率は約90%です。また、片親が下肢静脈瘤の場合、男性は約25%、女性は約62%の確率で遺伝します※3

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職業が発症率に与える影響

長時間の立ち仕事や座り仕事は、足の筋肉が動かない状態が続くため、血液を心臓に戻すための筋ポンプ作用が弱まり、下肢静脈に血液が滞留しやすくなります。その結果、静脈内の圧力が高まり、静脈壁が伸びてしまいます。
さらに、静脈内にある逆流防止弁が十分に機能しなくなり、血液の逆流やうっ滞が起こりやすくなります。
このように、長時間同じ姿勢でいることは、静脈への負担を慢性的に増加させ、下肢静脈瘤の発症リスクを大きく高めてしまうのです。

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まとめと対策

こうしたデータから分かるように、下肢静脈瘤はとても身近な病気です。特に40代以上の方、出産経験のある女性、遺伝的要素を持つ方は早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

参考文献

※1 平井正文ら「静脈瘤の疫学調査」(脈管学, 1989年)

※2 愛媛大学公衆衛生学教室調査(2005年)

※3 Gundersen J, Hauge M. Hereditary factors in venous insufficiency. Angiology. 20: 346-55, 1969

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