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2024.05.26

下肢静脈瘤の手術に使用される麻酔方法について

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

下肢静脈瘤の手術に使用される麻酔方法について

下肢静脈瘤の手術を受ける際、多くの患者さんが麻酔方法について心配されます。手術中の痛みや不安を軽減するため、麻酔は非常に重要な役割を果たします。本記事では、下肢静脈瘤の手術に使用される麻酔方法について詳しく解説します。

下肢静脈瘤手術で使用される麻酔の種類

下肢静脈瘤の手術では、以下のような麻酔方法が用いられます。

局所麻酔(TLA麻酔)

局所麻酔は、手術部位に直接麻酔薬を注入し、痛みを感じなくする方法です。患者さんは手術中も意識があり、比較的軽度の手術に適しています。

局所麻酔の方法の中でもTLA麻酔(Tumescent Local Anesthesia)は、皮膚や皮下組織に大量の希釈した麻酔液を注入する局所麻酔法です。この方法は主に脂肪吸引や下肢静脈瘤の治療に用いられ、手術部位の麻酔と血管収縮を目的としています。麻酔液には局所麻酔薬(リドカインなど)と血管収縮薬(エピネフリン)が含まれ、手術部位の出血を減少させ、痛みを長時間にわたり抑える効果があります。TLA麻酔は全身麻酔のリスクを避けつつ、安全かつ効果的な麻酔を提供する方法として広く使用されています。

静脈麻酔

静脈麻酔は、薬を静脈に注射して意識を消失させる麻酔方法で、手術中の痛みや不快感を軽減します。

脊椎くも膜下麻酔(腰椎麻酔)

脊椎くも膜下麻酔(腰椎麻酔)は、脊髄周囲に麻酔薬を注入し、下半身全体の感覚を一時的に失わせる方法です。この麻酔方法は、より広範囲の手術に適していますが、麻酔薬の効果が切れるまで動けないというデメリットがあります。

全身麻酔

全身麻酔は、患者さんを完全に眠らせる麻酔方法で、手術中の意識を完全に失わせます。大規模な手術や、患者さんの緊張を和らげる必要がある場合に用いられます。

それぞれの麻酔方法のメリットとデメリット

局所麻酔(TLA麻酔)のメリットとデメリット

  • メリット: TLA麻酔は手術による出血を最小限に抑え、手術中の痛みを効果的に遮断します。そのため術後の回復が早く、全身麻酔のリスクを回避できます。
  • デメリット: 大量の麻酔液注入により、術後に局所的な腫れや不快感が生じることがあります。

静脈麻酔のメリットとデメリット

  • メリット:迅速に効果が現れ、麻酔の深さを調整しやすいです。回復も早く、手術後の不快感が少ないです。
  • デメリット:鎮静効果はありますが、鎮痛効果はありません。また、呼吸抑制や血圧低下などの副作用がありますので、麻酔科医による適切な管理が必要です。

脊椎くも膜下麻酔(腰椎麻酔)のメリットとデメリット

  • メリット: 手術部位全体を効果的に麻酔でき、痛みを完全に感じなくすることができます。
  • デメリット: 麻酔薬の効果が切れるまで動けないため、多くの場合入院が必要になります。

全身麻酔のメリットとデメリット

  • メリット: 患者さんが手術中に全く意識がないため、手術への不安や痛みを完全に取り除くことができます。
  • デメリット: 全身麻酔は体への負担が大きく、回復に時間がかかるため、基本的に入院が必要になります。

目黒外科での麻酔の選択について

麻酔方法の選択は、手術の種類や規模、患者さんの健康状態、痛みに対する耐性などに基づいて決定されます。手術前に担当医と相談し、最適な麻酔方法を選ぶことが重要です。

目黒外科では、下肢静脈瘤の手術には静脈麻酔とTLA麻酔を併用しています。その理由は、患者さんの安全と快適さを最大限に考慮するためです。

静脈麻酔は患者さんの意識を消失させることで手術中の不安や緊張を和らげます。これにより、手術がスムーズに進行します。

TLA麻酔は手術部位の出血を減少させ、痛みを長時間にわたり抑える効果があります。

静脈麻酔とTLA麻酔(局所麻酔)の組み合わせにより、全身麻酔のリスクを避けつつ、手術中の痛みや不快感を最小限に抑えることができます。

これらの利点により、目黒外科では静脈麻酔とTLA麻酔(局所麻酔)の併用を採用し、患者さんにとって最も安全で快適な手術環境を提供しています。

おわりに

下肢静脈瘤の手術は、適切な麻酔方法を選ぶことで、患者さんの負担を最小限に抑えることができます。手術前にしっかりと麻酔について理解し、不安を解消することが大切です。

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