【専門医が解説】下肢静脈瘤の初期サインを見逃すな!症状と早期発見のポイント
下肢静脈瘤の初期症状とは?足のむくみ・だるさ・血管の目立ちに要注意
夕方になると靴がきつく感じるほど足がむくむ、ふと鏡を見ると血管が浮き出て目立つ、夜中や明け方に突然足がつって目が覚める──。
こうした症状に心当たりがある方は、下肢静脈瘤の初期段階かもしれません。
下肢静脈瘤は、足の静脈にある逆流防止弁がうまく機能しなくなり、血液が足にたまることで徐々に症状が進行します。放っておくと、見た目だけでなく、だるさや痛み、さらには皮膚炎や潰瘍といった重い合併症を引き起こすリスクもあるため注意が必要です。
早期に気づき、適切なケアや治療を始めることで、進行を防ぐことが可能です。小さなサインを見逃さず、ご自身の足の変化に一度目を向けてみましょう。
下肢静脈瘤とは
下肢静脈瘤は、足の静脈にある血液の逆流を防ぐ弁(静脈弁)が壊れることで、血液が本来の流れに逆らえず、重力に引かれて足にたまってしまう病気です。
静脈を流れる血液は、老廃物や二酸化炭素を多く含んだ「汚れた血」のため、滞留すると足にさまざまな不調を引き起こします。
初期の段階では「むくみ」や「だるさ」など軽い症状にとどまることが多いですが、進行すると皮膚の色素沈着や炎症、さらには皮膚潰瘍へと発展するケースもあります。
特にふくらはぎは心臓から遠く、重力の影響を強く受けるため、症状が集中しやすい部位です。
また、血液がたまるのは活動時間帯が長いほど顕著になるため、朝よりも午後から夕方にかけて症状が悪化しやすいという特徴もあります。
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下肢静脈瘤によく見られる初期症状
むくみ
これまで気にならなかったのに、夕方になると足がむくむようになった場合は注意が必要です。特に、足のすねを押してへこみが残る場合、下肢静脈瘤が関係している可能性があります。
むくみのセルフチェック方法
- 足のすねを親指で5秒間強く押す
- 指を離した後、5秒以上へこみが戻らなければむくみと考えてよい
むくみは他の病気でも起こりますが、以前より悪化しているなら一度医療機関で相談しましょう。
こむらがえり(夜間の足のつり)
夜中から明け方にかけて脚がつる「こむらがえり」も、下肢静脈瘤の初期症状のひとつです。
こむらがえりは、運動後の筋肉疲労やミネラル(カルシウム・マグネシウム・カリウムなど)の不足によってもよく起こるため、単に疲れのせいとして見逃されがちですが、下肢静脈瘤による血流障害も大きな要因のひとつです。
静脈の血液循環が滞ると、筋肉に十分な酸素や栄養素が届けられにくくなり、筋肉の異常収縮が起きやすくなります。そのため、特にふくらはぎの筋肉に強い負担がかかり、夜間や明け方に足がつる症状として現れやすいのです。
こむらがえりが頻繁に起こる場合、単なるミネラル不足だけでなく、血流の異常が背景にある可能性も考え、早めの医療機関受診をおすすめします。
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血管の浮き出し・目立ち
足の血管が浮き出て目立ってきたと感じたら、まずは鏡で足のすねや膝の裏側をよく観察してみましょう。
細かい血管が網目状やくもの巣状に広がって見える場合は、比較的軽い段階の「網目状静脈瘤」や「くもの巣状静脈瘤」であることが多く、すぐに治療が必要とは限りません。
しかし、放置すると徐々に血管が太く浮き出し、ボコボコと隆起する「伏在型静脈瘤」へ進行していくことがあります。
伏在型静脈瘤は、見た目の問題だけでなく、足のだるさやむくみ、重症化すると皮膚炎や潰瘍などの合併症を引き起こすリスクも高まります。
見た目に違和感を覚えた段階で受診すれば、比較的簡単な治療で進行を食い止めることが可能です。
足の血管の変化に気づいたら、できるだけ早めに専門医による超音波検査を受けましょう。
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足のだるさ
静脈に老廃物を多く含む血液がたまることで、静脈内部の圧力(静脈圧)が徐々に上昇し、足にだるさや重さを感じるようになります。
特に、重力の影響を強く受けるふくらはぎでは血液が滞留しやすく、活動量が増える日中から夕方にかけて症状が悪化しやすいのが特徴です。
朝起きた直後は血液が比較的心臓に戻りやすいため症状は軽いものの、長時間の立ち仕事やデスクワークなどで足に血液がたまっていくにつれて、次第にだるさが強っていきます。
足のだるさを「年齢のせい」や「疲れの一時的なもの」と思い込んで放置していると、静脈のうっ滞がさらに進み、皮膚の色素沈着や慢性的な皮膚炎、最終的には皮膚潰瘍を引き起こすリスクもあります。
足のだるさが続く、あるいは日々悪化していると感じたら、早めに専門医の診察を受けましょう。
症状に気づいたら早めの受診を
下肢静脈瘤は、単なる「見た目の問題」にとどまらず、進行すると足の皮膚に色素沈着を起こしたり、重症例では皮膚が破れて潰瘍を形成するなど、深刻な合併症を引き起こすことがあります。これらの合併症は、いったん起こると完治までに長い時間を要し、生活の質(QOL)にも大きな影響を及ぼします。
しかし、初期段階であれば、適切な生活指導(長時間の立ちっぱなし・座りっぱなしを避ける、こまめに足を動かすなど)や、医療用の弾性ストッキングによる圧迫療法を取り入れることで、症状の進行を食い止めることが可能です。負担の少ない対策で済むため、早期発見・早期対応が何よりも重要です。
足の血管が目立ってきた、むくみやだるさが気になる、違和感が続く──。そんな小さな変化を感じたら、自己判断で様子を見るのではなく、できるだけ早めに下肢静脈瘤を専門とするクリニックを受診しましょう。
超音波検査(エコー検査)によって、血液の流れや逆流の有無を正確に診断でき、必要に応じた治療方針を立てることができます。
大切な足を守るためにも、「まだ大丈夫」と思わず、早めのチェックを心がけましょう。
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