下肢静脈瘤になりやすい人・職業 | 目黒外科

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2017.12.14 下肢静脈瘤コラム

下肢静脈瘤になりやすい人・職業

記事執筆Author

目黒外科 院長 齋藤 陽(あきら)

目黒外科 院長
齋藤 陽(あきら)

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

詳しいプロフィール

下肢静脈瘤になる主な原因は以下の通りです。
1.立ち仕事(デスクワーク)
2.妊娠・出産
3.遺伝
4.加齢
5.肥満
6.便秘
7.性別

1.立ち仕事(デスクワーク)

調理師・美容師・警備員・クリーニング店など、同じ場所に長時間立ち続けるお仕事の方は、足の筋肉によるポンプ作用が働きません。足の静脈に血液が溜まるので静脈が太くなり、弁にも負担がかかるので弁が閉じなくなります。

立ち仕事をしていなくても、長時間同じ姿勢でじっとしている方も足の筋肉のポンプ作用が働きませんので、立ち仕事の方ほどではありませんが、静脈弁に負担がかかることになります。

2.妊娠・出産

出産を経験した女性の2人に1人は静脈瘤を発症するというデータがあります。
その理由は3つあります。
1.母体の血液量の増加
2.女性ホルモンの影響
3.子宮による静脈の圧迫

●母体の血液量の増加

妊娠中は、赤ちゃんを育てなくてはなりませんので、お母さんの体の中を流れる血液の量が40-50%増加するといわれています。そのため、全身の静脈はパンパンの状態となり、特に重力の影響を受けやすい足の静脈は太くなります。

●女性ホルモンの影響

妊娠中は女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの量がおよそ100倍に増加します。エストロゲンは血管の拡張作用があるため、妊娠後期になるほど静脈は太くなっていきます。

●子宮による静脈の圧迫

妊娠週数が進み、胎児が大きくなると、大きくなった子宮が骨盤の中で静脈を圧迫します。すると足から流れてきた血液は通りにくいため、砂時計のように渋滞して静脈が太くなります。
パンパンに伸ばされていた静脈も、出産後には元に戻りますが、伸び切ったゴムのように太くなった静脈が元に戻らず、そのまま静脈瘤ができてしまう方もいらっしゃいます。一般的には2人目の妊娠から静脈瘤が目立つようになることが多いです。

3.遺伝

両親が下肢静脈瘤をお持ちの場合、90%遺伝するといわれています。
どちらかの親が下肢静脈瘤をお持ちの方は、男性25%、女性60%の確率で遺伝するというデータがあります。

4.加齢

年齢とともに静脈の壁を構成する弾性膜の萎縮と平滑筋の退行がおこり、静脈の壁は徐々に脆くなっていきます。そのため長時間立ちっぱなしで足の静脈に血液が溜まると静脈が伸びやすくなります。

5.肥満

あまり強い要因ではありませんが、高度の肥満女性は静脈瘤になりやすいというデータがあります。

6.便秘

排便の時にいきむと腹圧がかかります。高い腹圧がかかると、おなかの中で静脈を強く圧迫するため静脈弁に負担がかかります。

7.性別

女性は女性ホルモンのプロゲステロンが月経周期に合わせて増加します。プロゲステロンは静脈壁と静脈弁を伸びやすくさせるため、女性のほうが静脈瘤になりやすいのです。

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