【医師監修】下肢静脈瘤手術後の過ごし方|日常生活の注意点と早期回復のポイントを解説
【医師監修】下肢静脈瘤手術後にできること・注意すべきこと|日常生活のポイントを解説
下肢静脈瘤の手術を受けた後、「普段どおりの生活にすぐ戻れるのか?」「どんなことに気をつけるべきなのか?」と不安を感じる方は少なくありません。
術後の過ごし方を正しく理解しておくことは、早期回復だけでなく、再発予防にも大きく影響します。
この記事では、下肢静脈瘤手術後に知っておきたい生活上の注意点や回復を早めるポイントについて、医師監修のもとわかりやすく解説しています。
初めて手術を受ける方も、再発防止を目指す方も、安心して術後の生活を送るために、ぜひ最後までご覧ください。
下肢静脈瘤の手術後の一般的な経過について
下肢静脈瘤の手術は、「切らない」「縫わない」日帰りの血管内治療(レーザーや接着剤による治療)が主流となり、身体への負担も最小限に抑えられるようになっています。しかし、術後は少しずつ身体が回復していく「経過の中」でさまざまな変化が起こります。
術後当日
- 日常生活はすぐに再開可能で、当日から歩行も可能です。ただし、当日は入浴・自転車・車の運転は控えていただいています。
術後1週間以内
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足に内出血(青あざ)が出ることがありますが、時間とともに消えていきます。
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血管の焼灼部位に沿って、押すと痛むような感覚やつっぱり感が出ます。
これらの症状は、静脈が閉塞・吸収されていく過程で生じるもので、通常は心配ありません。痛みが強い場合には処方した鎮痛剤を服用することで治まります。
術後1~2週間
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足のつっぱり感がはっきりしてきます。特に座った状態から立ち上がる時に感じますが、歩き始めると感じなくなります。
- 焼灼した静脈が硬いスジやシコリのように感じるようになります。
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内出血の色が紫色~黄色に変わり、目立たなくなっていきます。
術後1か月頃
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足のつっぱり感は1~2か月で落ち着きます。年齢が若い方の方がつっぱり感が消えるまでの時間が長い傾向があります。
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焼灼した静脈瘤はシコリとして触れますが、日常生活に支障はほとんどありません。
- 再発の兆候がないか、定期的なエコー検査で確認します。
ただし、術後1か月間は弾性ストッキングの着用が推奨されます。これは回復を早めるだけでなく、合併症予防に効果があります。
術後3か月以降
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焼灼した静脈瘤は徐々に体内に吸収され、ほとんど跡も残らなくなります。
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再発の兆候がないか、定期的なエコー検査で確認します。
術後すぐにしてもよいこと
歩行(できるだけ歩くこと)
手術当日から意識的に歩くことが推奨されています。
歩行は足の筋肉を使って血液を心臓に押し戻す「筋ポンプ作用」を促し、血栓予防や術後のむくみ軽減に大きく役立ちます。無理に長距離を歩く必要はありませんが、こまめに動くことを意識しましょう。
デスクワークや軽作業
術後すぐにデスクワークや家事は可能ですが、座りっぱなしは血流悪化の原因となるため注意が必要です。
1時間に1回は立ち上がって動くようにするなど、下半身の血流を促進する動きを取り入れましょう。
シャワー浴(医師の指示に従って)
多くの場合、手術翌日からシャワー浴が許可されますが、創部(施術箇所)への負担を最小限にするためにも、長時間の入浴や熱いお湯は避ける必要があります。
シャワー後はタオルでやさしく水分を拭き取り、圧迫ストッキングを適切に着用することも忘れずに。
術後は避けるべきこと
特別な事はありませんが、手術後だからと言ってあまり安静にし過ぎないように心掛けてください。
術後の注意点
下肢静脈瘤の手術後は、1か月間の弾性ストッキング着用をおすすめしています
下肢静脈瘤の手術を受けたあとは1か月間、弾性ストッキングの着用をお願いしています。
ストッキングによる圧迫は、
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術後の腫れや内出血の予防
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非常にまれですが、可能性がゼロではない深部静脈血栓症の予防
とくに朝起きてから夜寝るまで、立って活動している時間帯にしっかり着用することが大切です。就寝中は着用不要ですが、医師の指示により必要な場合もありますので、術後の診察時にご相談ください。
また、途中で着用をやめてしまうと、効果が不十分になることがありますので、1か月間は毎日続けるようにしましょう。着用がつらいと感じるときは、無理せず医師や看護師にご相談ください。
✅ このような症状があれば、すぐにご相談ください
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術後の足が急に腫れてきた
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足の一部が赤く熱を持っている
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押さえると強い痛みを感じる
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弾性ストッキングを着用してもむくみが引かない
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発熱や体のだるさなど、全身症状がある
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その他、「なんとなくいつもと違う」と感じることがある
まとめ|不安な点は早めに相談を
下肢静脈瘤手術後は、適切なケアを行うことで回復を早め、再発リスクを大きく減らすことができます。
手術はゴールではなく、回復へのスタートです。術後の経過を良好に保つためには、弾性ストッキングの着用や定期的な診察の継続、生活習慣の見直しがとても大切です。
術後しばらくは、足に軽いつっぱり感やしこりなどが生じることもありますが、多くは自然な経過の一部です。ただし、痛みが強くなったり、腫れがひどくなったり、いつもと違うと感じることがあれば、決して自己判断せず、すぐに医師にご相談ください。
違和感を「きっと大丈夫」と放置してしまうと、予期せぬ合併症や再発につながることもあります。ご自身の体の変化にしっかり耳を傾け、少しでも不安があるときは、遠慮せず医療機関へご連絡ください。
当院では、手術後のアフターケアも含めて、患者さま一人ひとりの状態に応じたサポートを行っております。安心して経過を見守るためにも、どんな小さなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。
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